著者
山里 純一 Yamazato Junichi
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 : 琉球大学法文学部人間科学科紀要 = Human sciences : bulletin of the Faculty of Law and Letters, University of the Ryukyus Department of Human Sciences (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.32, pp.55-77, 2015-03

旱魃は人間の生存を脅かす最たるものの一つである。気象学や科学技術が発達した現代においてさえ、降雨は自然に委ねる他はないが、これを人間の力を越えたものに頼って雨を得ようとする行為が雨乞いである。雨乞いは地域共同体や行政レベルで行われ、一定の儀礼を伴うが、本稿は宮古・八重山を中心に、沖縄本島の中北部および久米島の事例も参照しながら沖縄における地方の雨乞い儀礼について、概観したものである。
著者
浜崎 盛康 川元 恵美子 Hamasaki Moriyasu Kawamoto Emiko
出版者
琉球大学法文学部
雑誌
人間科学 : 琉球大学法文学部人間科学科紀要 = Human sciences : bulletin of the Faculty of Law and Letters, University of the Ryukyus Department of Human Sciences (ISSN:13434896)
巻号頁・発行日
no.33, pp.1-16, 2015-09

沖縄県南城市の久高島はイザイホーに代表される神の島として知られるが、高齢化がすすんでおり、55歳以上の高齢者が島の人口に占める割合は40%にもなる。しかし、島には入所型の介護施設がないため、高齢で要介護状態になると島を離れ島外の老人ホーム等に入所し、そこで亡くなり死後に島に戻るという現実がある。このことは島では、「連れて行かれる」と表現する事態であり、スピリチュアルペインを生じさせるものである。本稿は、久高島の調査に基づいて島におけるそのようなスピリチュアルペインを確認し、これに対する島の取り組みが福祉制度におけるスピリチュアルケアとして捉えられることを示し、さらに、その際固有の信仰を尊重することも必要であるということを論じるものである。